伊勢志摩の海から循環型社会を目指す!“ケアシェル”でサステナブルな体験
掲載日:2023年3月16日
伊勢志摩グルメとして
人気の海鮮のひとつ、牡蠣【カキ】
鳥羽市では三重県トップの生産量を誇り、
漁師さんたちが心をこめて育てた
美味しい牡蠣は
伊勢志摩の特産品として親しまれています。
しかし消費とともに生まれる
牡蠣殻【カキがら】は
そのままでは自然に還らないため
加工して処分する必要があります。
そこで鳥羽市では2000年に
『鳥羽カキ殻加工センター』が設立されました。
ここでは毎日、牡蠣殻が
「鳥羽カキ殻石灰」として
天然肥料に生まれ変わっています。
今回はこのカキ殻石灰が原料である
『ケアシェル』を中心として、
伊勢志摩でおこなわれている
サステナブルな取り組みを体験しました!
ケアシェルはSDGsの観点から
今とても注目されている製品です。
ケアシェルって?
ケアシェルは、鳥羽市にあるケアシェル株式会社がつくっている製品。
カキ殻の粉末と、海中のマグネシウムを粒にして固めて作られています。
水質改善の効果があることから水質ろ過材として使用されたり、カルシウム&ミネラルが豊富な特長を活かしてアサリの養殖に活用されています。
すべて海由来のものでできているので、安全で環境にやさしい製品なんです!
鳥羽カキ殻加工センターを見学
今回はケアシェル株式会社の山口 惠(めぐむ)さんと、山口 慶子(けいこ)さんにご案内いただきました。
お二人は親子で、惠さんが会社の代表をされています。
こちらの加工センターで処理されるカキ殻等は年間約6,000トンにものぼり、年間を通して大量のカキ殻が運び込まれてきます。
工場見学ツアーでは、カキ殻が「カキ殻石灰」として生まれ変わっていく工程を順を追って学ぶことができます。
慶子さん
加工センターは鳥羽市の水産養殖業を支える、大切な施設なんです
たにがわ
どの機械も見たことないし、大きい!
大量に積み上げられた牡蠣殻の山は圧巻!
運びこまれたカキ殻は約1年間、雨ざらしにして余分な塩分を落とし、保管されます。
自分たちの身長よりはるかに高く積み上げられた様子は、圧巻の光景!
なかにはカキ殻だけでなく、ホタテの貝などもありました。
1年間保管されたカキ殻は大きな水槽につけられ、さらに塩分を落とします。
他の加工センターでは海水等を使用することもありますが、こちらの加工センターでは地下水を使用することで塩分が更に少なくなり、畑の肥料にするとより美味しい野菜が育つのだとか。
水槽から取り出されたカキ殻は敷地に広げられ、職員さんたちが手作業でボルトやゴミなど異物を取り除いていきます。
慶子さん
カキ殻はカルシウム等でできているので、そのままだと自然に還りにくいんです
たにがわ
確かに、何千年も昔の貝塚でも残ってますもんね!
こちらが鳥羽カキ殻石灰「しおさい」です!
資源循環型の牡蠣殻肥料は石灰分やカリウムなどが含まれ、このようにしっかりと加工することで肥料や酸性土壌の中和剤として活用できます。
ケアシェルを使ったアサリ養殖
鳥羽市浦村町の浜で、実際にケアシェルを使ったアサリ養殖も見せていただきました。
ネットにケアシェルと砂利をよく混ぜ合わて干潟に設置した袋には、たくさんのアサリが入っています。
カルシウム&ミネラル豊富なので、大きくて身入りの良いアサリが短期間で育つとのこと!
栄養たっぷりなので自然と寄ってくるそうです。
たにがわ
慶子さん
もともとは農作物用の肥料として使われるのが一般的でしたが、「海のものをとって、海に還さないのは良くないんじゃないか」という父の考えもあって、ケアシェルとして固めて海にかえしているんです
アサリ養殖については、伊勢志摩漁村アクティビティにて実際に体験することができます。
詳しくはリンク先をご覧ください。
いよいよケアシェル作りを実際に体験!
ケアシェル工場見学ツアーでは、実際にケアシェル作りを体験できます。
鳥羽市の鉄工所と協力して作った特製の窯はケアシェル作りに欠かせません。
スイッチを入れると窯が回転し、そこへカキ殻粉末と海洋性水酸化マグネシウムを投入して水を加え、丸い粒状に整えていきます。
慶子さん
たにがわ
機械の回転に合わせて混ぜていくと、少しずつ粒状に。
惠さん
水を入れるタイミングや、粉を追加する分量がなかなか難しいと言われます
たにがわ
最初はむずかしかったですが、だんだん小さく丸いケアシェルになっていく様子を見ると嬉しい!
丸い粒のかたちに整ったら、次は板のうえにひろげて天日にさらし、乾燥させます。
乾燥したら仕上げに独自技術で固めて、ケアシェルの完成です!
こうして『ケアシェル』となったカキ殻は、その特長を活かしてアサリ養殖や水質改善に活用され、再び海へと還ります。
体験を通じて循環型社会を考える
例えばブロックに付着させたり平たい形にしたりと、現在でも水産業を中心に様々な実験がおこなわれているそうです。
惠さん
ケアシェルは粘土のようにいろいろな形にできて、しかも出来上がったものは強度も高いんですよ
たにがわ
すごい!いろいろな使い方ができそうですね!
おわりに
創業者である惠さんに『ケアシェル』の名前の由来をきくと、「貝をたすける」という意味からつけられたそうです。
いま、循環型社会を考えるうえで、伊勢志摩における重要なサステナブルな取り組みの一つである『ケアシェル』
創業から20年を迎えた今でも、その思いは変わらず事業に取り組まれている姿を感じました。
惠さん、慶子さん、ご協力いただきありがとうございました!
~ 教育旅行関係者の方へ ~
伊勢志摩学生団体誘致委員会(学誘委)は、学生団体旅行等を伊勢志摩地域へ誘致することを目的として活動しています。
現代において世界が大きく関心を寄せる「再生・再利用」を今回のケアシェルのような体験を通して学んだり、全域が国立公園に指定されている伊勢市・鳥羽市・志摩市・南伊勢町で、海や山という環境に密着した体験をしたりと、伊勢志摩でしか味わうことのできないプログラムを多数ご用意し、お待ちしております!